社団法人日本マーケティング協会発行
 

マーケティングホライズン
2006年5月号 ミステリーショッパーを上手に活かしていますか

 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

 ファーストフードのチェーンやショッピングセンターなどでは、お客を装った覆面調査員が店の接客サービスや、クレンリネス、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)などを評価するミステリーショッパープログラムがさかんに行われている。

 もともとミステリーショッパープログラムは覆面調査そのもの以上に、調査結果をベースにしたコンサルティングに依頼者の期待が大きい。ショッピングセンターなどの商業施設では、テナント指導のためのツールとしてこの調査がしばしば行われている。

 店舗指導を行うコンサルタントが覆面調査も行う場合と、覆面調査はトレーニングした一般の会社員や主婦、専門調査員が行い、コンサルタントはその結果をもとに診断指導を行う場合とがある。コンサルタントとしていったん店長等と面談した人は繰り返し覆面調査ができないので継続調査をする場合には役割分担が必要になることも多い。

 筆者もここ数年、ミステリーショッパープログラムをベースにした物販店のコンサルティング業務にかかわる機会が増えている。いくつかのパターンを試みているが、コンサルタントと一般の生活者モニターとを組み合わせて覆面調査を行うと、コンサルタントの目と一般利用者の目と両面から店を評価することができ、依頼者の参考になるようだ。

 一般利用者では気づかず問題にならない点も、コンサルタントは厳しく客観的に評価し、改善点を指摘することができる。改善点の優先順位を判断するには一般モニターの意見や評価が参考になる。

 一般モニターについては調査マニュアルをつくり、同じものさしで評価できるよう事前にトレーニングする場合が多い。しかし、人により見方に差はどうしても出る。そのため、調査店のターゲット年代の調査員を何人か組み合わせることによって偏りをできるだけなくすように調査を設計している。

 一人の調査員が何回か同じ店に行くことも大切だ。店長がいる時といない時、忙しい時と暇な時など状況によって店の対応はかなり異なるからである。実際、同じ店でも接客した販売員や繁忙の状況によって、覆面調査員の評価は大きく変わる。本来、店はいつでもある一定水準の顧客サービスのレベルを保つことを期待されているが、現実には曜日、時間帯、スタッフ編成により非常にサービスのレベルにばらつきがあることがミステリーショッパープログラムからあぶりだされることが多い。

 飲食店では必ず飲食して調査するが、物販店では様子を見るだけで買物はしないケースも多い。単価が高い場合、買物費用がばかにならないためだ。しかし、一定額の買物することで、さらにきちんとした評価が可能になる。買物することによって、「買物した時としない時の対応の違い」「レジ処理や包装の適切さ」「名簿記入の有無」「ポイントカードの有無」「サンキューレターなどアフターフォローの徹底」など、さらに深く店の評価をすることができるためである。

 様々なテナントがミックスされたショッピングセンター型の商業施設の増加に伴い、ミステリーショッパープログラムはますます浸透するものと思われる。そうした仕組みが密かに動いているということ自体がテナントのサービスに緊張感と刺激をあたえ、サービスのレベルアップが意識される副次的な効果も含めて、ミステリーショッパープログラムの効用が期待されている。

 

 
 
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