社団法人日本マーケティング協会発行
 

マーケティングホライズン
2005年1月号 DISTRIBUTION’04 キーワードは、テーマ性と"好"価格

 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

2004年は、郊外型本格的ショッピングセンター、都心型新商業開発のラッシュが続き次の時代に向けての小売業の取り組みが目立つ1年だった。そのなかで、ターゲットの絞込みやテーマ設定がより明確化してきたことがポイントといえる。ユニクロの"好"価格宣言もデフレスパイラル脱出を期待させた。ダイエー問題も産業再生機構による支援が決まり、2005年は新たな再編がはじまる。


■ダイエー、再生機構に支援要請
10月ダイエーは産業再生機構に支援を要請。スーパー業界再編の火ぶたが切って落とされた。ダイエー再建のスポンサー企業としては国内外の大手流通業、商社などが不動産会社、投資会社と組み名乗りをあげている。かつて日本最大の小売業だったダイエーには好立地の店舗もあり、その争奪戦はこれから。2005年には、ダイエー再建を軸に日本の流通勢力図が大きく変わる。


■ダイヤモンドシティ、続々オープン
三菱商事とイオンの共同出資会社ダイヤモンドシティが京都、広島、奈良、福岡、大阪に大型ショッピングセンターをオープンさせた。10月にオープンした堺市のダイヤモンドシティ・プラウは核テナントにジャスコと阪急百貨店が入り、専門店が160店入る本格的2核モール。今後の郊外型ショッピングセンターのモデルとしても注目を集める。 
 
■ターゲットは大人
 都心の富裕層やライフスタイルにこだわった大人を狙う商業施設が続々登場。3月には旧日本橋東急百貨店跡地にコレド日本橋、10月には銀座交詢社ビルに伊勢丹系列の高級衣料専門店バーニーズニューヨークの3号店がオープン。大阪西梅田では11月高級ホテル、ザ・リッツカールトン大阪に隣接して海外高級ブランドとエンターテイメント施設を複合したハービス エントがオープンした。


■ニューヨークスタイルの駅立地開発
3月には東海道新幹線品川駅開通にともないアトレ品川がオープン。ニューヨークスタイルをテーマに全館を統一。玄関となる2階部分をマンハッタンストリートと名付け、目玉ショップとしてニューヨークの高級食料品店ディーンアンドデルーカやグランドセントラルステーションのオイスターバーなどを導入。従来の駅ビルのイメージを超えた商業施設を目指す。


■空(そら)ナカ
駅ナカの次は空ナカに注目。12月、羽田空港第二旅客ターミナルが完成。空港内にファッションなどの有力ショップを集めた総店舗数92店(物販27店、飲食39店、サービス26店)の「マーケットプレイス」がオープンした。2005年に開港する中部国際空港では4つのテーマで商業施設をゾーン化する計画もあり、空港ではあらたな消費空間としての再構築が進んでいる。


■オアゾ開業で、丸の内再開発前進
 9月、東京丸の内では商業施設とホテルを複合した再開発施設丸の内オアゾ、国内外の有力ブランドを集めた丸の内マイプラザが相次いでオープン。オアゾは大型書店丸善を核テナントに東急ハンズ新業態店など雑貨店・飲食店・旅行代理店などを集積。相次ぐ再開発により丸の内地区のエリア開発はさらに前進、六本木・銀座・日本橋などとの地域間競争の行方が注目される。


■三越本店新館オープン
デパート宣言から100年にあたる三越は、日本橋本店の新館をオープンした。本店はシニアが中心顧客層だが、新館では息子娘世代の品揃えを強化した。開業を大々的な広告宣伝で盛り上げ、1ヶ月で店頭売上げ、来店客数とも大幅に増加し、出足は快調に推移。その一方、9月横浜・大阪・倉敷の三店舗の閉鎖を決定。新宿三越はロフトやジュンク堂を入れた新専門店ビルに業態転換を行った。


■コンシェルジュサービス
日本橋の高島屋では4月の全面改装にともない、顧客のあらゆる質問やリクエストに答えるグリーターコンシェルジュと専門的な知識を持ってコンサルティングセールスを行うフロアコンシェルジュを顧客の多様なニーズに応えるべく100人以上配置し、話題に。コンシェルジュはお客のために情報を交通整理して提供する橋渡し役として、商店街や駅などでも活躍しはじめている。


■"好"価格
 9月ファーストリテイリングは「ユニクロは、低価格をやめます」とのメッセージ広告で、低価格でも高価格でもない"好"価格を売ると宣言。「進化したユニクロ」を表現する店舗として、大阪心斎橋筋に超大型店ユニクロプラスを10月オープンした。これを小売業脱デフレの兆しと見るか、「小売業は安売りから始め、成長に従い高級化する」とする"小売の輪"説の証明と見るか、興味深い。


■ボーダーレス化するコンビニとドラッグストアDS
7月医薬品371品目の販売がコンビニエンスストアなどで解禁された。整腸薬や胃腸薬、保健薬などが、厚生労働省の規制緩和により「医薬部外品」に移行、薬剤師がいなくても扱えるようになった。コンビニではコーナーを作って薬品を販売。異業種参入に危機感を持つドラッグストアでは生活雑貨や飲食良品の扱いを増やし、コンビニとドラッグストアのボーダーレス化が進む。


■ワンアイテムショップ快進撃
4900円という値ごろ価格で高品質なシャツを販売するメーカーズシャツ鎌倉が快進撃。その他、靴下やストレッチパンツなどでも1アイテムの商品をバリエーション豊かに納得価格で販売する店が増えている。コーディネート力を身につけた消費者は単品で買って自分流に組み合わせ、使いこなすことが上手。消費者の変化がワンアイテムを深く掘り下げたショップを求めているといえる。


■リバリューモール
循環型社会にふさわしい消費スタイルとして中古品やリサイクルショップに注目が集まっている。その象徴的な施設として7月にリサイクルショップを集めたショッピングモール、グリーンマルシェが東京お台場にオープン。「誰かにとっては不要なものでも自分にとってはお宝かもしれない」と、新たに自分なりの価値・使い道を創造することー「リバリュー」を基本理念にスタート。


■コンビニ舞台にゆうパックとヤマト対決
 郵便ポストの設置など、日本郵政公社との連携を深めるローソンは、全店でゆうパックを11月から取り扱うことで同社と合意。この提携に対して、ヤマト運輸は「クロネコヤマトは日本郵政公社との競争に賛成です。ただし、公正ならば」と反発、ローソンでの宅急便の扱いを拒否した。他のコンビニ各社は、「最終的には客がどう考えるか」として、静観の構え。


■ケータイ通販急拡大
クリスマスギフト、お歳暮などでネット注文が好調。ネットショッピングは生活インフラとして定着しつつある。そのなかで、注目を集めたのはケータイ通販の躍進。若い女性に人気が高く、占いや着メロなど女性向け無料コンテンツを充実させた集客が効奏。香水、化粧品、ダイエット関連商品など、安くて買っても間違いのないものや買いにくいコンプレックス商品を中心に売れ出している。

 
 
Copyright (C)since2005  有限会社 長原マーケティング研究所 All Rights Reserved.