商業界 
 
2000年10月号 インターネット・公募作文「お客の本音」結果発表
 

「買いたい心理」「買わない理由」はここにあり

 
(抄録:店毎の代表コメントは商業界本誌をご覧下さい)
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

インターネットアンケート73通(有効回収)、公募作文34通、合わせて100通の消費者の本音が集まりました。インターネットアンケートと公募作文の回答者の男女構成は男性3対女性7とほぼ変わりません。「買物」という女性に関心の高いテーマだったこともあり、最近のインターネットの女性への浸透ぶりを表す結果となりました。年代的に見ると、インターネットアンケートの回答者は20代に45%が集中し、20代と30代で全体の約80%を占め、比較的若い世代の意見が集まりました。それに対して公募作文(郵送)は40代が最も多く、32%、次いで30代29%でした。

内容的には、投稿作文はもちろんのこと、インターネットアンケートの回答についても、「好きな店の好きな理由」を詳しく書き込んだ回答が多かったのが特徴です。インターネットでは、「好きな店とその好きな理由」を聞き、公募作文は、「私のここが本当に買う店、買わない店」というテーマで行いました。

まず、インターネットアンケートの結果から「好きな店の好きな理由」を見ていきましょう。

■ファッション分野(一位ユニクロ 2位伊勢丹 3位無印良品、GAP)

カジュアル専門店に人気集中。ポイントは高感度低価格

 20代・30代の回答が多かったこともあり、カジュアル専門店を挙げる人が目立ちました。量販店は、イトーヨーカドー・ダイエー各1票に留まりました。百貨店では、伊勢丹4票、プランタン銀座・Zサイド(福岡)に1票が入った他は、百貨店内のショップ(例えば横浜そごう内のキャプテンサンタ、池袋西武のDO!ファミリーなど)を挙げる例は多いにもかかわらず、百貨店そのものを好きな店として挙げる人が少ないことが印象的でした。

カジュアル専門店の中では、ユニクロを推挙した人が、10人とダントツでした。ユニクロには、関東から沖縄まで、幅広い地域から回答が寄せられています。次いで、無印良品・GAP3票、ビームス2票となっています。
人気店に共通する好きな理由のキーワードは「高感度プラス安さ」。ユニクロについては「安い・値段の割に品のセンスが良い・種類が豊富・店員の応対が良い」(愛知 森亮介さん)が代表的なコメントです。価格だけでなく、ファッション性や販売サービスなどの良さも支持されています。

無印良品は「無駄な装飾や流行に左右されることが無く、かつ値段が手頃。」(京都 中東登志子さん)など安さとシンプルデザインが支持されています。

GAPは、価格が値頃の他、「店員がアドバイスをしてくれるタイミングがよい。40過ぎのおばさんにもフレンドリーに接してくれるのが良い」(神奈川 清水まゆみさん)など、接客の良さを評価する声が2票ありました。
ビームスは、「値段が手頃、流行・定番の両方が揃う」(兵庫 中川扶子さん)など、ファッション性と選びやすさを推挙する声が挙がっています。

 百貨店で上位に挙がった伊勢丹は、オリジナルブランドや接客の良さをコメントした人がほとんどです。回答者の年代も30代から50代まで幅広いのが伊勢丹の特徴です。価格については、「他の店に較べると、割高だが以前よりはかなり安くなっている」(東京 堀江京子さん 30代)というコメントのみでした。

 チェーン店・個店それぞれの好きな店についてのコメントの中で、共通しているのは、「リーズナブルな価格」がベースになっていることです。それに加えて「ファッション感度」「店員の応対の良さ」が好きな理由に並んでいます。
年代別には、10代・20代は「安さ、感度」、30代以上は「安さというよりは値頃感、落ち着いて選べる、販売員の対応がいい」を挙げる傾向が強まっています。

■ リビング分野(1位アフタヌーンティー 2位 ローソン、セブンイレブン 3位 ヤマダ電機、ヨドバシカメラ)

生活に求めるのは「安さと楽しさ」

 雑貨のアフタヌーンティー、コンビニエンスストアのローソン、セブンイレブン、電化製品量販店のヤマダ電機、ヨドバシカメラ、コジマ、ビッグカメラなどが上位に挙がりました。

 トップのアフタヌーンティーは「シンプルで温かみのあるテーストが好き。生活用品がトータルで揃っているので、一人暮らしをしている私には買いやすい。万人に好まれるので友人のプレゼントにも良く使う」(東京 山崎有紀さん)の他、価格が安いこともポイントに挙げられています。

コンビニエンスストアについては、ローソンについての「近いから。気軽に入れるから。」(東京 国分直晃さん)が代表的支持理由。セブンイレブンへのコメントも同様で、特にこだわりのあるコメントを寄せた人はいませんでした。価格面のコメントも皆無で、近くにあって便利だから利用するというのが本音のようです。

 電化製品量販店では、好きな理由は、品揃えと安さ、店員の商品知識に集まっています。ビッグカメラについての「商品知識が完璧。ポイントで買物できるので大きい物を買ったときは小物はタダ同然!値段が安く送料無料、他店と比べて高い時は値引きしてくれる」(神奈川 森田富美子さん)が代表的コメントと言えるでしょう。ヤマダ電機について「大人が遊べるから」(長野 小池秀夫さん )とのユニークなコメントもありました。
  家庭雑貨では、数多くの店が挙がっていますが、男女とも見るだけで楽しい、厭なことを忘れるなど、楽しさやくつろぎ感を評価するコメントが目立っています。

食の分野では、新鮮・安い・うまいなどの理由でいきつけのスーパーや食品店を多くの人が挙げています。例えば、京都藤井大丸地下のTABERUTOについて「店内が明るく広々。食品の種類が豊富。店員の制服統一されていてすっきりさわやか。夕方6時以降に行くと格安で買える」(京都 神埼貴子さん)など複合的な魅力のある店が評価されています。また、サミットについて「容器の回収をしているから。お肉やお魚のパックを回収する箱が入り口に設置されているから」(埼玉 中平真由美さん)などリサイクル対応を評価するコメントもありました。細かいところまで消費者は実によく見ています。

食住の分野での人気店のコメントでは、楽しさと値頃感がキーワードになっています。見る楽しさ、品揃えのよさ(食品は鮮度)、気に入ったら買うことの出来るリーズナブルな価格設定がポイントと言えます。

■飲食分野 (1位スターバックス 2位 マクドナルド、モスバーガー、3位 サイゼリア)

激安派とお洒落グルメ派に2極化

飲食では、カフェやファーストフードのチェーンが上位に集まりました。若い人が日頃よく出かけて馴染んでいるせいでしょう。その一方、高級店もちらほら挙がっています。

もっとも回答の多かったスターバックスは「コーヒーだけでもレパートリーが細かいところまでオーダーでき、とても美味しくいただける。混み合っていても、並んでいる時に注文できて、後は支払いに長くまたずに手にできるのがいい。」(東京 佐藤美希さん)など、味に加えて洗練されたサービスを評価しています。禁煙なので良いとするコメントも挙がっています。

マクドナルドは「安い!」(大阪 小野真由美さん)など、安さを挙げる人がほとんどです。最近の激安戦略のインパクトを示しています。

モスバーガーは「美味しい。少々高くてもその分おいしいからいい。他のファーストフード店に比べて体によさそう。」(沖縄 比嘉彩子さん)とおいしさを評価するコメントが多く、価格志向のマクドナルドファンと対照的です。サイゼリアは「メニューが激安なのにとても美味しい。」(北海道 菅原みき子さん)と言うコメントが代表的。ジョイフルも「ランチが安いし美味しい」(福岡 本田裕美子さん)他、安くてサービスが充実している点が評価されています。その他、挙がった店は多岐にわたっています。総じてアットホームで安い店、高級感のある割に価格がリーズナブルで接待にも使えるレストランが人気と言えます。立地や内装など環境面について詳細にコメントした人が多いのも飲食分野の特徴です。味だけでなく雰囲気を求めるお客が多いと言えます。お洒落感・おいしさがあれば、値段はある程度までは許せるという人と、とにかく安い店が好きという人に2極分化しています。

■投稿作文からー「買わない理由」は人

同時期に行った投稿作文は、大変力作揃いでした。その中で、優秀作に選ばれたのは、「大手にはない独自の品揃えの雑貨店だから買う」福島の橋本たか子さん、「シニアに親切な店員がいる百貨店だから買う」兵庫の上野有治さん、「閉店間際の販売員の買物が不快な百貨店だから買わない」福島の中島一浩さん、「マニュアルだけで店員が対応するファーストフード店だから買わない」静岡県の山田朋克さんです。( nに全文掲載)

なお、惜しくも佳作となった愛媛県の三好真寿美さんはお気に入りの地元の百貨店フジグラン松山について、「実用的な面ばかりでなく、お客お大切にしている姿勢…年に一度は大きな会場を借りてミュージカルを開催し招待、懸賞、旅行の優待など」楽しさをあたえてくれる点を「買う理由」として書いています。また、埼玉県の西田尚美さんは、近くの西友で、店内で社員を叱る怒鳴り声を聞いて、「買いたくない」店に挙げ、「お買物をいかに楽しくハッピーな気分にさせるかが勝負」と書いています。

 投稿では、安さだけではなく、本物感や店主の心遣い、その店のオリジナリティーを「買いたい理由」として挙げたものが目立ちました。「買わない理由」は、社員のいがみ合い、社員の傍若無人な買物など、社員の態度が不快だからというもの、取り寄せや電話への対応、顧客無視などに集中しています。品揃えよりも、人に関わる問題点が多く挙げられています。

■まとめー価格価値と独自の魅力が、お客が買いたくなるポイント。

お客が買いたい店を、インターネットアンケート、投稿文の両面から見てみました。共通して言えるのは、リーズナブルな価格はベースであるということです。その上で、独自性・楽しさ・寛ぎ感・お洒落感・販売員の気持ちの良い応対など競合他店にはない顧客を引き寄せる魅力を持った店で、お客は「買いたい」と言っています。また、今回インターネットアンケートでは調査しませんでしたが、「買いたくない」店は、投稿に明らかなように一にも二にも販売員が不快な店です。

「買いたい」「買いたくない」両面からあなたのお店を検証して見ましょう。次にどうすればいいかが見えてくると思います。

 
 
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