社団法人日本マーケティング協会発行
 
マーケティングホライズン 2004年1月号 DISTRIBUTION’03 
 

キーワードは都心回帰&上質な日常

 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

■ 六本木ヒルズ

 職・住・遊・学などの機能を集約した都心型複合商業施設、六本木ヒルズが4月オープン、新東京名所として全国から注目を集めた。秋には文化都心の名にふさわしく森美術館が開館。同時期に、木・金・土曜日は午後11時まで店を開くルイ・ヴィトンがオープンするなど、年間を通して話題を呼んだ。
大阪では大型複合商業施設のなんばパークスがオープン。昨年オープンして話題になった丸ビル、カレッタ汐留に続く都心型複合商業施設の相次ぐオープンは人口の都心回帰を背景に、街づくりと複合した商業施設のあり方を示すものとしても注目された。

■都市を彩る商業施設の建築・デザイン

カレッタ汐留、六本木ヒルズ、なんばパーククスは、ともに米国の商業空間設計者ジョン・ジャーディがデザインを手掛けたことも注目された。ラグジュアリーブランドの旗艦店は、こぞって有名建築家・インテリアデザイナーを起用。特に、スイスの建築家コンビ、ヘルツォ-ク&ド・ムーロンによるプラダブティック青山店は角錐形のガラスのビルで道行く人の度肝を抜いた。

■伊勢丹本店メンズ館大改装

百貨店の伊勢丹では、メンズ館を35年ぶりに全館リニューアルした。ブランド中心の構成から、アイテム別展開中心に変更し、男性が買いやすい売場づくりを実現。全館を一つのデザインコンセプトで統一し、買物をアシストするアテンダーを配置しサービス面にも注力。服だけでなく、1階にはメンズフレグランスや小物、地下にはバッグ、靴、肌着なども充実させ、男性消費復活の目玉として注目を集めた。


■玉川高島屋ショッピングセンターのパワーアップ

都心郊外型ショッピングセンターの代表格である玉川高島屋ショッピングセンターは、9月に新南館増設、11月地下食品街、西館アレーナ通りを全面リニューアル。「玉川邸宅」をデザインコンセプトに、ファッション・リビング・食品・飲食の有力店を集め、上質な日常の提案をさらにパワーアップした。


■札幌駅南口にJRタワー開業

3月、JR札幌駅南口に大丸札幌店と専門店街ステラプレイスを含む複合型商業開発ビル「JRタワー」がオープン。札幌への25年ぶりの百貨店新規出店に注目が集まる。JRタワー開業は、停滞する北海道経済回復の起爆剤として期待がかかる一方、札幌への一極集中が加速するとの見方もある。

■ 駅ナカ開発

駅は集客力の高い場所である。そのわりにはまだまだ商業開発の余地が残されていることから、JR始め鉄道各社は駅ビルへの梃子入れに続いて駅ナカ開発に取り組み始めた。高級惣菜、パソコンショップなどが、英会話教室、エステサロン、レンタルなどサービス施設とともに駅ナカを賑わしはじめ、新たな立地創造として注目された。

■ 独自商品競うコンビニ

 5月からコンビニ限定販売しヒット商品となった花王のヘルシア緑茶をはじめとして、コンビニ発のオリジナル商品が続々登場。コンビニは、便利さだけでなく、商品の独自性を競う時代に。
惣菜、おにぎりなどの中食分野でも、質にこだわる高級商品を展開。11月からは、秋冬の定番商品、中華まんの高級商品で競い話題を盛り上げた。

■スーパーセンター出店加速

8月中間決算では、大手量販店5社のうち、イオン・イトーヨーカドーは増収確保したものの、ダイエー・ユニー・西友は減収。注目されたウォルマート・西友の新店、佐賀巨勢店では、ウォルマート色は薄く、ウォルマートの日本攻略はいまだ不透明な状況下にある。その中で、ウォルマートの主力業態スーパーセンターの出店が全国的に加速。地方都市郊外に1フロアで衣食住3分野すべてを扱う安売り業態に、イオンはじめ総合スーパーやホームセンターの参入が相次いだ。

■ ユニクロ、セオリーとの合併で再浮上

 8月ユニクロの既存店売上は23ヶ月ぶりに前年プラスとなり、今後の業績回復に明るい材料となった。ブーム終焉後、イメージダウン傾向にあったユニクロは、9月若者に人気のファッションブランド「セオリー」を買収。ファッションイメージが弱いユニクロにとって、「セオリー」買収は、将来的には商品のイメージアップに繋がる可能性があるのではないかと期待されている。

■ドン・キホーテ、医薬品深夜販売

 ドン・キホーテは8月、テレビ画面を通じて薬剤師が消費者の相談を受ける深夜の医薬品販売を開始。薬剤師を常時、薬局・薬店に配置し、直接、副作用などの相談に応じるよう求める厚生労働省の指導を受けて販売は中止したが、風邪薬などに限って必要量を無料提供するサービスを続けた。12月、厚生労働省の有識者会議は、テレビ電話方式による深夜・早朝の医薬品販売を条件付きで容認すべきだとの見解をまとめた。これを受け、同省も「薬事法違反の疑いがある」としてきたこれまでの解釈を転換し、容認する方針に軟化。ドン・キホーテが医薬品販売の規制緩和に一石を投じた形になった。


■ 元気なTV通販「ジャパネットたかた」

日本通販協会によれば、2002年度の通販売上高は前年比5.6%増で、4年連続で過去最高の売上を記録した。これは、テレビ通販、インターネット通販好調によるもの。家電製品を中心に自前のスタジオを持ちテレビ通販に力を入れる「ジャパネットたかた」は前年比39%増と好調を持続。高田社長自ら出演する独特の語り口の買う気にさせる商品紹介が業界の話題に。

■英食品スーパー、テスコ上陸

カルフール、コストコ、ウォルマートに続いて英国の大手流通業テスコが中堅スーパー「つるかめランド」などを展開するシートゥネットワークの買収を6月に発表、日本進出に名乗りを挙げた。大手外資の参入により食品スーパーの業界再編はさらに進む。

■総合小売業に近づく大手商社

 ファミリーマートを傘下に持つ伊藤忠商事は9月ファッション誌「ショコラジェンヌ」を創刊、ファミリーマートを中心に販売するほか、雑誌で独自商品を通信販売するなど情報発信と商品販売を効果的にリンクさせ、消費者への接近を図る。海外有望ブランドについてもライセンスビジネスから脱皮し、日本法人の経営権の取得するなど、卸から総合小売業へと商社は変貌しはじめている。

■セルフレジ登場

 イオンは系列の食品スーパー、マックスバリュ-で「セルフレジシステム」を導入した。
大手スーパーでは初の試みで、混雑時や従業員の少ない深夜時間帯に、待ち時間を短くできることをアピールしている。客は操作画面の案内に従って、買い物かごから商品を取り出し、バーコードをスキャニングし、自動現金支払機に現金またはクレジットカードを入れて精算するしくみ。スーパーではセルフサービスからセルフレジへ、ますます販売の省人化が進む。

 
 
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