社団法人日本マーケティング協会発行
 
マーケティングホライズン 2003年6月号
 

梃入れすすむベンチャーサポート

 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

「1円でも起業」を合言葉に中小企業挑戦支援法が2月に施行され、起業に新たな注目が集まっている。起業は容易になっても、ベンチャー企業が事業拡大を目指すためには、資金面、人材面、販路開拓面などで、他企業との積極的なアライアンス(事業提携)が必要である。

中小・ベンチャー企業と新しいビジネスのシーズを求める大手・中堅企業とのビジネスマッチングを支援するネットワークシステム:東商ベンチャーネットは、独自のビジネスプランを持つベンチャー企業を応援するしくみである。

このしくみは全国の意欲ある中小・ベンチャー企業のビジネスプランを審査を経て専用ホームページに掲載し、東京商工会議所会員の中堅・大手のサポート登録企業が閲覧、関心のあるビジネスプランを持つベンチャー企業に自由にアプローチするというものである。

ビジネスプラン発表会などを通じて、商工会議所が登録サポート企業とベンチャー企業とのネット上だけではない「出会いの場」を積極的に提供していることも特徴である。


■平成8年度にスタートしてから平成14年度までのビジネスプラン登録数累計は824件にのぼる。分野は、環境・リサイクル、情報通信、システム・工業機器、住宅・建設、医療・福祉など多岐にわたっている。支援希望内容は、販路開拓と資金調達が主であるが、技術開発、人材確保を求めるものもある。

いままでにアライアンスが成約した件数は47件。成約した案件には、ベンチャー側がどこまで自力ででき、どの部分をサポートして欲しいかという支援イメージが明確なケースが多く、支援企業側も、自社が何を支援できるか明確にイメージできたケースであるという。例えば、ある天然素材だけでつくる完全無添加の化粧品開発に成功したベンチャー企業の場合、運転資金不足のため宣伝広告まで資金が回らず困っていた。ウェブサイトで東商ベンチャーネットを知り登録したところ、健康関連に注目していた商社の目にとまり、3000万円の資金提供を受け、海外販売向け窓口を設立でき、国内の販路開拓にも成功した。

東商ベンチャーネットでは、今年度から、サポート会社登録会費の軽減や、ビジネスプラン紹介のスピードUP、半年のクローズド期間はサポート企業のみの閲覧だが、その後、半年間はオープン期間とし、ビジネスプランと中堅・大企業との出会いの機会を広げるなど、しくみを改革した。

1990年代の米国経済の復興を支えたといわれるベンチャー企業は、日本でも、経済閉塞状況の突破口として期待されている。日本経済再生に向けて、起業後のベンチャーをサポートするしくみにも注目したい。

 
 
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