商業界 
 
2003年5月号 全国1001人に聞いた「おんな」の気持ち
 

1人の消費者が100円ショップと海外スーパーブランドを使い分ける時代の心理

 
(抄録:図表は商業界本誌をご覧下さい)
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子

今回はハーストーリー「集まれご意見ネット」の協力で、買物についての意識や態度、実際に買物した店で、どういう点に「お客の心理がわかっている」「お客の心理がわかっていない」と感じるかについて聞きました。全国から集まった1001人のホットな意見をさっそくまとめて、ご紹介しましょう。


■買わない二つの理由、どっちが本当?


最近の消費についての議論は、「消費者は生活にゆとりがないので欲しいものがあっても買えない」とする経済起因説と、「いや、消費者は買いたいのに買いたいものが売られていない」とする<消費者ニーズが掌握できない>マーケティング起因説に分かれています。今回のデータで見る限り、この議論はどちらも部分的には正しく、部分的には間違っているといえます。

現在の生活ゆとり感を聞いたところ、回答者は約1割の<ゆとりあり層>と約5割の<ゆとりなし層>、残り約4割の<どちらともいえない層>に分かれています。図1は経済的ゆとり感のあるなしによって消費意識が、どのくらい異なるかを見たものです。<ゆとりなし層>の7割以上が「買いたいものはあるが、経済的余裕がないことが多い」と答えています。一方、<ゆとりあり層>では約1割、中間の<どちらともいえない層>では約3割強しかこの設問に回答していません。逆に<ゆとりあり層><どちらともいえない層>では「最近、どうしても買いたいと思うものが少なくなった」と答える割合が高く、「買いたいものはあるが、経済的余裕がないことが多い」を上回っています。このことから、<ゆとりなし層>には、経済起因説があてはまるといえます。その一方で、<ゆとりあり層>では、「どうしても買いたいと思うものがないので、買わない」という状況が浮かび上がってきます。図2は、年代が若い層ほど、「買いたいものがあるが経済的余裕がない」傾向、年代が高まるほど、「最近どうしても買いたいと思うものが少なくなって来た」傾向を示しています。30代までは「欲しいものがあるが経済的余裕がない」、40代からは「買いたいものが少ない」という状況は、もっと中高年女性の潜在ニーズを掘り起こすような売る側のマーケティング努力が必要なことを示唆しています。

このように、女性といっても一様ではなく、年代別・経済状況別に細かく切り分けて対応していく必要があることがわかります。


■価格志向と品質志向の微妙なバランス


 「できるだけ安く買いたい」価格志向、「いいものなら多少高くても買いたい」品質志向についての回答を整理したのが表1になります。「100円ショップを利用することが多い」(86%)「日常の買物はできるだけ価格の安い店を選んですることが多い」(69%)など低価格志向を示す回答が上位に挙がっています。では、高ければ買わないかというと、そういうわけではありません。「多少高くても気に入ったものは買う」(42%)「ここ一番という勝負服は、高くてもいいものを買う」(39%)「自分へのプレゼントに思い切った買物をする」(35%)「高級スーパーやデパ地下と普通のスーパーを使い分け」(33%)など、価格よりは品質を重視する人もいます。また、
価格志向と品質志向の設問への回答の重なり具合を見ると、


●「日常のできるだけ価格の安い店を選ぶ」と答えた人の39%が「多少高くても気に入ったものを選ぶ」にも回答。
● 「洋服はバーゲンになってから買う」と答えた人の40%が「ここ一番という勝負服は高くてもいいものを買う」と回答。
など、明らかに1人の女性のなかで、価格志向と品質志向に揺らぎがあることがわかります。また、年代やゆとり感によっても価格志向・品質志向のバランスは微妙に異なります。(図3)


■最終的には、店で購入が決まる


表2は買物が計画的かどうかを見たものです。「耐久消費財の買物については事前によく価格を調べてから店に行く」は45%、「あらかじめ買う商品を決めて出かけることが多い」が51%、「店に行ってから商品を決めることが多い」(45%)を上回っています。しかし、半分弱の人が「店に行ってから商品を決める」ことも見逃せません。さらに、「あらかじめ買う商品を決めて出かける」人のうち、12%は「薦め上手の店員に接客されて、目的以外の商品を買うことがある」と答えています。

これらの結果から見ると、最終的には店に行ってから買物の内容が決まることが多いといえます。


■全ての年代で<しつこい接客>にNO


 接客では「しつこい接客をしない店で買うことが多い」(67%)が全ての年代で非常に高い回答率になりました。「取り寄せなどに快く応じてくれる店にはまた行きたくなる」(47%)「自分の名前や以前買ったものを覚えてくれる店にはまた行きたくなる」

(42%)なども高い回答率を得ています。その反面、「マニュアル通りの接客に買う気をなくした」人は36%。「自由に商品を試せる店では試しているうちに買いたくなる」は25%、「薦め上手の店員に接客されて、目的以外の商品を買うことがある」は16%でした。薦め上手の店員に弱いのは10代・20代で、20%超の回答率を示していますが、50代では2%と低く出ています。買物経験が蓄積される中高年ほど、店員の薦めには簡単には乗らない傾向があるといえます。(表3)


■ポイントカードの効果は絶大


 販売促進関連では、「ポイントカードや会員カードを持つと、その店を利用することが多くなる」(78%)が年代・経済的ゆとりに関係なく最も支持されました。「商店街のスタンプなどは集めて利用することが多い」(45%)も健闘しています。
「限定品といわれると欲しくなることが多い」(45%)「今、売れています」などPOPに惹かれて買いたくなる」(26%)は10代、「新商品が出ていると買いたくなる」(28%)は20代の回答率が高く出ています。

 DMに関しては、「買った店から手書きのハガキや手紙を貰うと行ってみたくなる」が28%、「買った店から何度もハガキをもらうと、また行って見たくなる」が18%でした。電話よりはメールが来るほうが、その店に行きたくなるとする回答率が高いことも注目されます。

販売促進に関しては全体に10代・20代の回答率が高く、50代は低めの傾向があります。年代が高くなるほど、販売促進に左右されない傾向が強まるといえます。(表3)


■「この店はわかっている」と感じる真実の瞬間とは?


 「この店はお客の心理がわかっている」と感じたことがある人は22%、「この店はお客の心理がわかっていない」と感じたことがある人は38%でした。いかに、女性の買物心理がわかっていない店が多いかが推測されます。「わかっている」「わかっていない」とも年代が上がるほど、高まっています。(図4)

では、どんなところに「わかっている」と感じるのか、どんなところに「わかっていない」と感じるのかを分類してみると図5のように圧倒的に接客に意見が集中しています。「わかっている」と感じた理由では61%、「わかっていない」と感じた理由では84%が接客に関わる意見でした。67%の女性が「しつこい接客をしない店で買うことが多い」と答えたわけがわかります。個々の意見から読み取ると、売りつけようとするしつこい接客が、買う気を失わせていることがわかります。「ほっておいて欲しいのに自由に見させてくれない、質問しようとするとまともに答えない」店員についてのいらだちが多数の意見からうかがえます。反対に、決して売りつけようとせず、お客を親切にもてなしたり名前で接客したりする店は、「わかっている」と感じられています。


 *1001人の女性の意見は大変厳しいものですが、まだまだ小売業として消費者心理をとらえていない面が多々あることを示唆しています。来店したお客に気持ちよく買物していただく、買物したお客にまた来店していただくために店は何をすべきか、このデータが参考になれば幸いです。

 
 
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