連載 「明日のヒット」につながる気づきノート21

○飽食の時代だからこそ生まれたミニサイズ商品の柔軟発想

(抄録)

商業界 
2001年10月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
この夏、帯広に出かけたら、あちこちに「豚丼」の看板が目につきました。話の種にと、一軒の店に入りました。豚肉の薄切りを焼いて甘辛タレと一緒にごはんにのせるだけというシンプルなメニューです。注文を受けてから豚肉を炭火で焼くところがミソで、香ばしい香りがなかなかです。メニューは豚丼だけですが、ミニサイズ(豚肉2枚)と普通サイズ(豚肉4枚)に分かれていました。それほどお腹がすいていない時や小食の女性にミニサイズメニューは気が利いていると感心。気をつけてみると、普通サイズに加えてミニサイズをメニューに加える飲食店が増えているようです。280円牛丼や半額ハンバーガーなど価格だけの値下げとは一味違った、消費者のエコノミー志向への対応がミニサイズ化だと思います。飽食の時代に、「少量でいいから価格を安くして欲しい」と考える消費者もたくさんいます。食べ残しなどの無駄もなくなるという点でエコロジー志向ともいえます。


■女性の支持を集めるミニサイズ

「このごろは、なんでも小さいものが売れる。うちでもミニサイズのはちみつがよく出る」という話を聞きました。そういえば、グラム売りのミニクロワッサンが今年になって大ブレイクして行列を作っています。ケーキ屋さんでもミニシュークリームやミニケーキの詰め合わせが売れています。お惣菜売場でもOL向けのミニサイズ弁当やミニいなりずしなどが好評です。ミニサイズ商品が売れている背景には、エコノミーでエコロジーということの他に、「女性好み」「かわいい」「少しずつ色々楽しめる」などの要因も大きく働いているようです。

ミニサイズ商品の宝庫はなんといってもコンビニエンスストアでしょう。コスメティックスから日用雑貨、グローサリー、惣菜・弁当、お菓子・デザートに至るまで、そこここにミニサイズ商品が溢れています。ミニサイズのインスタント麺コーナーも目立ちます。コンビニのミニサイズ商品はスーパーなどで標準サイズのものを買うより割高な場合もあります。それでも消費者がミニサイズを買ってしまうのは、「今欲しいものを今欲しい量だけ買いたい」という消費者が増えているためでしょう。


■ミニサイズは買いやすさが魅力

 少量にして値段を押えて売る傾向は様々な分野に広がりを見せています。例えば、18〜80センチのミニブーケを350円から1500円の価格で並べて売る花屋が人気です。持ちやすく小型で、手頃な価格が好評で、百貨店の食品フロアにあるコーナーでは、食品の買物のついでに花を買っていく人が目につきます。花というと、お見舞いやプレゼント用の高価なイメージがありますが、同じ花をデイリー用にミニサイズにセットして売ることで買いやすい印象を顧客に与えています。毎日買っても楽しめるように日替わりブーケも用意されています。

 景気の良し悪しに関わりなく、人々は生活を楽しみたいと思っています。少ない出費で内容は落としたくない生活者のニーズに答えるミニサイズ化は、今の時代に顧客をつかむキーワードと言えます。「大きいものを小さ くしてみる」「ひとつのものを小分けにしてみる」など色々工夫する中に、まだまだ新しい売り方のアイデアが生まれてきそうですね。

 
 
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