連載 「明日のヒット」につながる気づきノート21

○アクティブシニア攻略には”粋”で”いなせ”な美学が不可欠

(抄録)

商業界 
2001年9月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
60歳以上の男性をおしゃれにしようというフォーラムがjmj(日本マーケターネットワーク会議・安部雍子議長)主催で、6月東京で行われました。このフォーラムは昨年にも催され、講演だけでなく、実際のシニア男性をモデルにしたファッションショーが好評でした。今回もフォーラムのラストはファッションショーを中心に参加者と主催者の交流で締めくくるというプログラムが組まれました。前半には、「60歳以上を寝たきり老人のイメージでとらえるのは全くの誤解。ほとんどの人は元気なアクティブシニアだ。」「これからの還暦は80歳だ。」など、実証的なデータや事例を裏づけにリアルなシニア像がマーケティング関係者の集まりらしく浮き彫りにされていきます。後援の道具学会からはプロジェクターを使ったプレゼンテーションが行われ、画一的な日本の老人ホームに対して、老いても自分らしい暮らし方ができる海外の老人ホームの事例やデザインの美しさにもこだわった体の不自由な人のための道具等が紹介されました。これからのアクティブシニアの生き方には"美学"の視点が必要との観点から、日本に昔からある"粋"で"いなせ"な生き方がこれからのシニアライフにとって重要なキーワードになるだろうとの提言が行われました。


■ シニアビジネスに対する間違った思い込み

シニア・シルバー向けの商売というと、たいていの人が思い浮かべるのは、介護ショップや介護サービス、商店街の宅配ビジネスなどではないでしょうか。そこにあるのは、弱いもしくは病んだシニアを前提とした販売手法や品揃えです。これからシニアが量的に増えるという認識は当たっていますが、シニアが増えるとどんな質的なニーズが増えるのかという点で思い違いがあるようです。〜中略〜元気なアクティブシニアは、時間も比較的自由になり、経済的にも豊かです。この人達は楽しみや遊び、おしゃれなどに仕事に忙しい中年以上に関心が高く、健康のためという意識もあって、あちこちマメに出歩いています。ショッピングも、出かける楽しみの一つです。商業施設や商店街にも、個店にも、シニアが買物や遊び、気晴らし、癒しなどのためにわざわざ行きたいと思うような魅力をつくることが求められています。


■シニア世代こそ、おしゃれを求めている!

アクティブシニアフォーラムの最後のプログラム「男の基本・シャツを着る」のファッションショーが始まりました。デザイナーの倉屋勇治氏のデザインについての説明の後、いよいよモデルの登場です。モデルは高齢社会NGO連携協議会の方々で、全くの素人ばかりです。〜中略〜

投票は「いい」と思うシャツを着たモデルの番号を挙げるという簡単なものでしたが、どのスタイルも合格点で、喝采を浴びました。中でも、ちょっとしたコンサートやパーティにも着ていけそうな黒の艶のある素材のアンサンブルシャツは投票数が多かったようです。着用機会が多いのに中々見かけないスタイルだったからでしょう。旅行鞄に入れてもかさばらず、旅先での食事やオペラ鑑賞などにも着ていけそうなデザインでした。最後にモデルの年齢が開示されました。上は69歳から50歳まで、60代三人、50代一人でしたが、言われるまで年令差を全く感じませんでした。ここでも、私達がシニアに持っているイメージ以上に実際のシニアはかくしゃくとして若々しいことが証明されたことと思います。シニアというと、地味・没個性といった固定されたイメージがありますが、これからのアクティブシニアには遊び心やかっこよさの提案が不可欠なことに気づかせてくれた有意義なフォーラムでした。

 
 
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