連載 「明日のヒット」につながる気づきノート21

○儲からないことの連続から儲けが生まれる

(抄録)

商業界 
2001年6月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
一般人にとって、家は一生に数回あるかないかの大きな買物です。高額な出費をするにもかかわらず買物経験がほとんどなく、買う前も、買った後も、様々な不安や難問に遭遇します。そんな時、心強いのはフォローの完璧な不動産仲介業者の存在でしょう。しかし、不動産仲介業のサービスは千差万別、売りっぱなしの業者も多いのが現実です。「引渡しから本当のサービスが始まる」と考える東京・光が丘の分譲団地仲介専門会社「すまいる情報光が丘」ではアフターサービスを徹底し、好業績を上げています。地域ナンバーワンの秘訣は、一にもニにも同社の「面倒見のよさ」にあります。


■今のお客への気配りが、次の顧客をつくる

家を売る時にまず行われるオープンハウス、その際、同社の担当者は家主に代わって上下階・隣近所の家をちょっとしたミニギフトとチラシを持って回ります。訪問を受けた家では、その気配りに感心すると同時に、「頼むなら、あそこもいいな」と、好印象を持ちます。今の顧客への気配りが次の顧客づくりに繋がっています。また、物件が売れると、即日「成約御礼」のチラシ(写真参照)を社内でコピーして作成し、売り出し物件の出た棟を中心に配布します。そこには「ひとあし違いでご購入できなかったご登録の方々がお待ちになっておられます。ご売却などお早めにご相談ください」とあり、さりげなく同社をPRしています。成約御礼は「あそこに頼むと確実に売れる」という信頼感につながっています。引越し当日には、一段落した頃を見計らって担当者がお赤飯をお届けしています。「まさか、そこまで気遣ってくれるとは・・」と、思いがけない差し入れは大変好評とのことです。入居2ヶ月後にも担当者が訪問し、住み心地等を聞き、小修理等であれば同社が対応しています。契約翌年の申告時期には無料の確定申告相談会を開催します。申告は素人にはわからないことだらけですから、大変親切なサービスといえます。契約一周年記念日には武藤正子社長自らがお花を持って訪問します。一つ一つはちょっとしたサービスに見えますが継続的に行っているところは中々ありません。社長の率先垂範が継続のパワーになっているようです。


■ご縁のあった家族とは一生のおつきあい

同社の仲介を利用した家族には、「すまいる倶楽部」(会費無料)から、会員情報誌や文化的催しの招待状が届けられます。住宅に関わる本も毎年発行しており、昨年は「光が丘パークタウン分譲住宅白書」を出し、高評価を得ています。税務・改装等各種相談も常時受けつけています。相談内容によって簡単なものなら、無料で情報提供します。さらに突っ込んだ相談に関しては、専門家を紹介しています。

昭和63年から続けている「週刊すまいる情報」は今年1月、600号になりました。物件情報だけでなく、「譲ります」「お譲り下さい」「バザーお知らせ」などのコミュニティ情報や社長のコンサルタント通信などを載せた充実した内容です。このような多彩なサービスを通じて、「一人のお客様との生涯のおつきあいから1000万の取引を」とする「ファミリー1000計画」を同社は掲げています。売上げの40%が再売買や紹介で占められていることも顧客のリピート率の高さを示しています。

お客様へのサービスを次の商いにつなげるには、「一見商売には直接つながらないように見えても、顧客との関係を保持するために必要なサービスなら無償でも提供する」という姿勢が大切なことに、同社は気づかせてくれます。「儲からないことをいっぱいやってきた」という同社が、堅実に業績を挙げているのは、儲からないことの中から儲けが生まれることを示しています。

 
 
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