連載 「明日のヒット」につながる気づきノート21

○手間を惜しまないDMだけがお客の心に届く

 商業界 
2002年4月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
 「効果的なDM」というテーマであるショッピングセンターの店長会で話をする機会がありました。店長会でアンケートをとったところ上位にこのテーマが挙がったとのことです。ポイントカードや会員制度などを作って顧客情報を集めることはどの店でも盛んに行われています。しかし、集まった顧客情報を元にDMを出しても思うようなレスポンスは簡単には得られません。もっと効果的なDMの出し方を知りたいというお店が増えているようです。そこで私が気づいたことをいくつかまとめてみました。

■ 顧客名簿は質がポイント。

 DMのレスポンスの高低は送付名簿の中身に左右されます。数だけでなく、名簿の質が重要です。

 あるワインショップでは、顧客名簿をむりやり集めないことをモットーにしているそうです。その店ではワイン情報満載の瓦版を年4回作っています。「良かったら、瓦版を送りますが欲しいですか?」と声をかけて、乗ったお客だけに住所・名前を書いてもらうそうです。来店した人すべての名簿をとろうと、無理に名前・住所を聞いたりしません。そうすると本当にワイン情報に興味のあるお客だけの名簿が集まります。瓦版と一緒に送る季節のおすすめワインセットの注文のレスポンス率は高いそうです。このように有効な顧客名簿を集めるためには、お客が興味を持つようなパンフレットやニュースレターなどのツールを用意することも大切です。その店ではワイン瓦版を社員の手づくりで続けているそうです。
こうして見ると、名簿は数を集めればよいというものではないことに気づきます。数だけでなく、あなたの店の商品やサービスに興味を持つお客がどれだけ含まれているかが重要なのです。

 郵政研究所の平成11年の調査によると、1週間のDM受け取り通数の平均は3.2通。DMの中で読まれるのはお客が興味を持ったDMだけです。日頃送られてくるDMすべてに目を通す人は49.5%と約半数で、残りの人は「関心のあるものだけ目を通す」と答えています。

同じ郵政研究所が平成13年に行ったDMを送る側の調査ではDMのレスポンス率は5%以下が約4割、5〜10%が約2割で、30%超の数値を除いた平均レスポンス率は約8.9%でした。レスポンス率は名簿の質によって大きく異なります。自前の顧客リストでのレスポンス率は15.0%と平均を大きく上回っていますが、外部の顧客リストを主に利用した場合のレスポンス率は3.5%と低くなっています。また顧客別に見ると上顧客ほど高いレスポンスが得られています。
DMのレスポンスを高めるには、名簿をとりっぱなしにせず、常に名簿を耕し、高いレスポンスが期待できる名簿にしていくメンテナンスが大切です。

DMを出した時の個人別のレスポンス情報をきちんと記録することで無駄なDMをだいぶ減らすことができるでしょう。全くレスポンスのない名簿は捨てる勇気を持つことも大切です。「このDMが不要の方はお知らせください」とストップ希望受付を書き添えるのもポイントです。お客にとって不要なDMを受け取らずに済むだけでなく、あなたの店にとっても無駄なDMを出さなくてすむからです。

■ 一人一人の顧客の心に届くDMを

あるファッション店では、一人一人のお客に、そのお客が気に入りそうな新商品の写真を封入したDMをシーズン毎に出しています。お客の顔を思い浮かべながら「**さんにはこのシャツ」というように絶対欲しくなるような商品の写真を入れたDMを出すので、DMを見たお客は店に行って商品を見たくなります。

 印刷物を大量に配布したという印象のDMは日々お客のもとに数多く届けられますが、一人一人のお客に届けられた手紙という印象を与えるDMはめったにありません。

 お客は、一回行ったことのあるお店から来たDM、手書きのDM、誕生日祝いDMなどそのお客だけに届けられたDMに好感を持ちます。

小さな店ほど、送付先を絞りに絞りこんで、受け取った顧客が「読みたくなる」「来店したくなる」DMを一手間かけて出すことが大切なことに気づきます。

 
 
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