○拡がり始めたICチップ 注目される顧客起点の活用法

ストアーズレポート 04年01月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
  この目でしかと見たことはありませんが、ICチップはすでに色々なところで使われ始めているようです。
先日も後楽園ラクーアに行きましたが、入館の際、小さなリストバンドを渡されました。ロッカーの開け閉め、飲み物の購入、マッサージやアカスリなどのサービス利用には、この腕時計様のものを所定の場所にかざすだけで、現金は不要です。退館時に、カウンターにリストバンドを返すと、精算額が呈示され、まとめて支払う仕組みになっていました。お金を持ち歩かないですむので温泉客には、とても嬉しいシステムです。この便利なリストバンドには、ICチップが埋め込まれて働いていたのです。見えないところでICチップは活躍しはじめているのですね。

■ キャッシャー不要に?
バーコードの代わりに商品にICチップをつけると、キャッシャーが一つ一つの商品をスキャンしなくても、ショッピングかごに入っている商品を読み取り、精算することが技術的には可能だそうです。バーコードだけでなく、キャッシャー不要時代が到来するかも知れません。

 03年11月にイオン系列の食品スーパー、マックスバリュ松ヶ崎店(千葉県)で日本初のセルフレジが始動し話題になっていますが、これはバーコードを

お客が機械に読み取らせる方式です。セルフレジを導入した米国のスーパーなどを見ると、セルフレジはいつもすいていて、人がついているレジにお客が並んでいます。スキャニングには慣れないと思いのほか手間取るので、かえって時間がかかるのもセルフレジを避ける要因ではないかと推察されます。もし、ICチップが商品について、簡単にセルフレジが使えるようになったとしたら、セルフレジを活用する人は増えるのではないでしょうか
対面販売からセルフサービスへ、さらにはセルフレジへと販売はますます人を介さない方向に向かっていることは確かなようです。

販売のセルフ化は、店がお客に本来やるべき作業を押し付け、コストダウンを計る側面ばかりが強調されがちですが、お客にとってのメリットもないわけではありません。

ICチップを活用して図書館員を煩わせずに本を借りることのできるシステムを取り入れた図書館の例では、どんな本を借りるかを図書館員に知られたくない利用者にセルフ貸し出しが好評だそうです。

買物でも、確かに店員の目を気にせずに買いたい商品っていろいろありそうな気がします。エッチな商品とか、購入者の年齢とかけはなれた商品、知られたくない病気の薬など、人によって気にするポイントは様々です。

人知れず買いたい人や、急いで買いたい人には、セルフレジは、あったら便利なものといえるかも知れません。

■ プラダではコーディネート提案に活用
ICチップは高度な接客への応用でも期待されています。プラダのニューヨークマンハッタン店では、微小なICチップをタグとして商品に貼り付け、服についての「素材は?」「他のサイズ、色は?」といった基本的質問にもすぐ答えられるようにしているそうです。試着室にもICタグリーダーとプラズマ・ディスプレイをとりつけ、服やアクセサリーをアクリルボックスにかけると、商品の電子タグから画像情報がとりだされ、服に似合うアクセサリーの画像などが表示される装置を入れて話題になりました。

今のところ、ICタグは国際的な標準規格や価格の問題もあり、企業間にまたがる課題への活用については少々時間がかかるといわれています。しかし、1店舗、1企業のなかでは、活用例がいろいろ出ています。
JRのSuicaや、回転すしの皿数を正確にカウントし、スピーディに精算するためにも使われていますし、万引き防止や棚卸への活用も検討されています。

ICチップを活用した、お客のための新しいサービスや、内部作業の効率化が注目されます。

 
 
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