○従業員満足から始まる顧客満足経営の実現

ストアーズレポート 03年11月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
顧客満足について聞かない日はないといって良いくらいですが、従業員満足についてはどうでしょうか?賃金減少、人員削減、成果主義、リストラなど働く人々にとって厳しい時代が続いています。その中で、顧客満足実現のためには従業員満足が大切だということが改めて注目され始めています。

■ 社員が職場に期待すること

顧客満足と同様に従業員満足においても、従業員の期待を上回る働きがいがあることが大切です。「こんなはずではなかった」とせっかく採用した人材がやめてしまうのでは元も子もありません。そのためには、従業員が職場に何を期待しているのかを知り、期待を上回る働きがいを与えることが大切です。

日本能率協会の2003年の調査によると、新入社員が職場に期待することのトップ3は「職場の人間関係がよい」「人間的に成長できる」「社員を大切にしてくれる」でした。次いで「「専門知識・技能が得られる」「好きな仕事がやれる」になっています。「給料が高い」「休日が多い」は8位、10位でした。この結果から見ても、従業員満足において「給料」「休日」は最優先されるものではなく、もっと精神的な満足感が求められていることがわかります。

 従業員満足度を定期的にチェックしているある会社では、多忙でフーフー言っていて代休も満足にとれない部門でも<業績が上がっている><チームワークがよい><チームのなかでの個人の役割が認められている>といった条件がある場合、従業員満足度は非常に高いということでした。逆に暇でゆとりがあっても、業績が低迷していたり、将来展望がなかったりする部門の満足度は低いそうです。言い古されたことですが、人が働き甲斐を感じるためには賃金・休日だけではない何かが必要のようです。

■ 顧客満足を生む従業員満足

従業員満足経営で繁盛している旅館があります。長野県仙仁温泉岩の湯では、「我が社は幸せをアートする」を企業理念に掲げています。幸せという言葉には、<顧客の幸せ><従業員の幸せ>の二つの意味が込められています。
旅館業といえば、わたり歩きの従業員が多く、休日勤務・長時間労働が当たり前の世界ですが、ここでは、早朝深夜勤務や休祭日勤務には特別手当を払い、クリスマスイブ、年末年始、春休みなどには従業員が家族と一緒に過ごせるよう、全館休業するなど業界の常識を超えた経営改革を行っています。

従業員が幸せでなくてはお客に良いサービスは提供できないという考え方から出たものです。社員全員が主役でなければとの考え方から「女将」を置かない脱女将経営もすすめ業界の注目を集めています。従業員数も収容人員と同数の65人と業界水準の3倍に充実させています。団体客から個人客へ、享楽型から癒し型への宿泊ニーズの変化をとらえた事も相まって、従業員満足経営による充実したサービスと快適な環境により、この旅館は稼働率98%という好業績を誇っています。

筆者が監修した「だから、私はこの店に行きたい」(商業界)という本では、お客様の声から愛される店のポイントを7つにまとめました。この7つの法則の<顧客>を<従業員>に置き換えると従業員満足のための7つの法則が見えてきます。

@従業員の期待を上回る職場環境をつくる
A従業員を心からもてなす
B一人一人の従業員を大切にする
C専門的な知識や技術で従業員の問題を解決する
D従業員と気持ちのよい会話をする
E従業員家族など従業員以外の人にも親切にする
Fすべての従業員に優しい店にする

いかがでしょうか?顧客満足の法則は従業員満足にもあてはまるのではないでしょうか?従業員満足が低ければ、意欲的な従業員のサービスは期待できず、顧客満足実現は遠いといえます。

 
 
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