○データが語る変化する顧客像

ストアーズレポート 03年9月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
女性ファッション誌は、ターゲットを絞り込んで訴求するための媒体として、なくてはならない存在です。そこで、気になるのは「どんな人がその雑誌を読んでいるのか」という読者像です。今年5月にカルチュア・コンビニエンスクラブから発刊された「データ・ウォッチ」では、いままでにない詳細な読者プロフィール分析が行われています。

■データから見えるファッションの微妙な地域差

「データ・ウォッチ」ではカルチュア・コンビニエンスクラブが経営するレンタルビデオショップTSUTAYAの店頭で売られた雑誌とビデオレンタルの実績から読者層を分析し、さらにTSUTAYAオンラインの会員向けアンケートで好きなミュージシャン、好きなモデル、恋人いる・いない率、好きなファッション関連ショップなどを調査し、多元的に読者層を分析した結果、興味深いデータをまとめています。

 例えば、TSUTAYA店頭での15〜30歳女性への販売実績ランキングは地域によって異なっています。東京、大阪、福岡、北海道はMOREがトップなのに対して、愛知だけはJJがトップになっています。JJは大阪でも2位で、このデータで見る限り、中京・大阪で強い雑誌といえます。(ちなみに東京では6位)JJガールはブランド大好き女性の代名詞。高級ブランドの保有率も高いこの層は東京より愛知・大阪に潜伏率が高いのではという興味深い結果です。JJ読者は、データ分析によると、浜崎あゆみ、宇多田ひかる、Mr.Childrenを好み、レンタルビデオでは「千と千尋の神隠し」や「ブリジットジョーンズの日記」がお好き。

 それに対して、愛知以外ではすべての地区でトップのMORE読者はJJ読者ほど服を選ぶ時男ウケを意識せず、ブランド志向もほどほどの無難派。レンタルビデオでは、「ブリジットジョーンズの日記」についで「アメリ」が2位に入っています。

 ストリート系ファッション誌miniは東京では5位に入っていますが、大阪では8位、愛知では6位とややランクが下がります。それに対して福岡では5位と東京と同じ位置にあります。

 こうした傾向から見ると、東京・福岡のファッション傾向は近く、どちらかといえば隠れブランド派、大阪・愛知はどちらかといえばブランド顕示派が多いのではないかと推測できます。

「データ・ウォッチ」には渋谷TSUTAYAでの女性誌販売ランキングも掲載されています。

ここで、総合トップはrelax for girlsという文芸誌relaxの増刊誌。全国では46位の雑誌ですが渋谷ではトップになっています。relax for girlsはアートをエッセンスにしたライフスタイル誌で、渋谷では、アートとファッションの融合がいち早く進んでいることが窺えます。

■年齢だけでは切れない顧客像

渋谷ではrelax for girlsについでストリート系ファッション誌miniが2位になっています。このmini読者の借りたレンタルビデオは「GO」「WATER BOYs」が1位、2位で他誌の読者と異なりミニシアター系支持の傾向が出ています。

全国19〜22歳の女性で16位に登場するブラック系ファッション誌「LUIRE」(ルイール)の読者では「コヨーテアグリー」「トレーニングデー」などブラック系の映画がレンタルされる傾向が出ています。こうした分析の結果、例えば「Olive」「non-no」「LUIRE」の読者層は10代後半〜20代前半で、年齢軸だけを見れば同じ購買者層に見えますが、実際の嗜好や購買行動には大きな違いがあることがわかります。

「データ・ウォッチ」は、TSUTAYAの顧客特性を反映して若い人中心です。しかし、百貨店なら、顧客の購買履歴を多元的に分析することにより、比較的雑誌媒体では捉えにくい中高年のライフスタイルまで含めて、顧客像を捉えることが可能です。顧客分析をベースにしたより精緻な品揃えやアプローチ手法の見直しが求められます。

 
 
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