○情報から動きはじめたリフォームビジネス

ストアーズレポート 03年7月号
 
(有)長原マーケティング研究所 代表 長原紀子
 
デパ地下特集やシェフやパティシエに焦点をあてたグルメ番組もあまりの多さに驚きがなくなってきました。かわって、増えてきたのがインテリア・住宅関連番組です。特に最近は住宅リフォーム番組が人気です。

■劇的変化が消費者を触発

テレビチャンピオン「住宅リフォーム王スペシャル」(東京12チャンネル)、お昼の主婦向け情報番組「ベストタイム」(TBS系列)のリフォームコーナー、日曜夜の「大改造!劇的ビフォーアフター」(ABC・テレビ朝日系列)の他、スカイパーフェクトテレビのリフォーム専門チャンネルなど、今、リフォーム番組が花盛りです。

知り合いのインテリアコーディネーターに聞いて見ました。先見の明のある彼女は数年前からリフォーム工房を主宰しています。「テレビの反響はとにかくすごい」とのことです。毎年春に行っているリフォームフェアの参加者が今年は倍増した程だそうです。テレビ番組によって、「あんなに変わるの!」とリフォームした前と後の変わり様に驚き、にわかに一般層まで関心が広まっているといいます。

劇的ビフォア・アフターには「まったく日が当たらない家」「玄関がふさがっていてトイレから出入りしなくてはならない家」「早く寝てしまう老夫婦と居間を共有しなくてはいけない家族」「収納場所がなく片付けられない家」など非常に困難な住環境にある家族が登場します。そして、スペースもなく予算も限られた状況が紹介されます。その後、「匠」(リフォームを得意とする建築家)が登場し、家族の悩みを解決し希望をかなえて劇的にリフォームを完成させます。リフォームの過程で、家族の一員の特別に思い入れのあるものや家族の歴史を物語るものが建具や装飾品などに作り変えられ家族を感動させます。

番組の冒頭には、リフォーム前の家や家族の生活が写されます。どこにでもあるような、ごちゃごちゃと物があふれた暮らしがそのまま出てきます。その後、「匠」の手によって作り変えられた家は同じものとは思えないほど劇的に変わっています。こんなに変わってしまうと、当の家族が本当に落ち着いて暮らせるのかしら、と疑問が起きるほど毎回、明るくモダンな住空間に様変わりします。

このように驚くほどはっきり変わってしまうからこそ、住宅リフォームの魅力が人々に強い印象を残すに違いありません。リフォームで、家が劇的に変わるのを見ることが今の人々の新しいエンターテイメントになっているのです。

■期待されるリフォーム市場

リフォームへの関心層は30代から40代・50代まで広がっています。若い人は新しく手に入れたマンションや一戸建ての小規模な手直し、中高年は、家族の巣立ちによるライフスタイルの変化や、老後を見据えた介護にも対応できる快適な住宅への本格的リフォームに関心を高めています。若い人はセンスをもともと持っていますが、どうしたらいいかわからない人が多いし、親世代もノウハウがないので教えてくれません。情報の空白をテレビがうまくとらえたといえるでしょう。

 住宅業界も少子高齢化で先細りが予測される新築分譲から、リフォームに重点を移しはじめています。今までは、家を建てることが「住」の終着点でしたが、これからは、ライフスタイルやテイストの変化に合わせて居住空間を作り変えながら暮らす時代です。このような時代背景のなかで、しばらくはテレビのリフォームブームも続いていくことでしょう。
ファッションは着るものだけでなく食住遊までひろがると、だいぶ前からいわれていますが、それを実現しているのは一部の人に過ぎませんでした。制約条件が多く、お金もかかる住はなかなか動かない部分だからです。しかし、成熟した日本の消費者はいよいよ住生活の劇的変化をまずは情報から求めはじめているようです。

百貨店のリビング分野は相変わらず低迷を続けています。一度離れた顧客を呼び戻すためには、何か劇的な変化が必要な時期に来ているのかも知れません。

 
 
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